「学校に行きたくない」と感じたことはありますか?
そんなあなたに寄り添うような物語が、辻村深月による小説『かがみの孤城』です。
現実に居場所を見つけられず、心を閉ざした中学生たちが、鏡の向こうの不思議な城で出会い、少しずつ心を通わせていく――ファンタジーでありながら、リアルな心の痛みに寄り添う本作は、多くの読者に深い感動を与えています。
本記事では、『かがみの孤城』の魅力やあらすじ、著者情報、感想レビュー、購入リンクまで詳しくご紹介。あなたの心にもそっと寄り添う1冊となるかもしれません。
作品概要・基本情報
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タイトル:かがみの孤城
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著者名:辻村深月(つじむら みづき)
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出版社・発売日:ポプラ社/2017年5月11日
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巻数:単巻(文庫版もあり)
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ジャンル:現代ファンタジー、青春小説、ミステリー要素あり
著者情報
辻村深月(つじむら みづき)
1980年、山梨県生まれの小説家。
千葉大学教育学部を卒業後、2004年に『冷たい校舎の時は止まる』でデビューし、その後も精力的に執筆活動を続けています。
2012年には『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞し、実力派作家として不動の地位を確立しました。
代表作:
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『冷たい校舎の時は止まる』
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『スロウハイツの神様』
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『ツナグ』
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『凍りのくじら』
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『傲慢と善良』
彼女の作品は、ミステリー要素を含みつつも、人物描写の繊細さや心の機微を丁寧に描く作風が特徴です。
特に若者の心理描写には定評があり、幅広い年代の読者から支持されています。
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公式X(旧Twitter):@mizukitsujimura
あらすじ
学校でのいじめをきっかけに不登校となった中学1年生のこころ。
誰とも会わず、部屋に閉じこもる日々を送っていた彼女の前に、ある日突然、部屋の鏡が光り出します。
その鏡をくぐると、そこにはまるでおとぎ話のような不思議なお城がありました。
城にはこころを含め、同じように現実で居場所を失った7人の中学生が集められており、彼らは「願いを叶える鍵を探す」使命を与えられます。
鍵は城のどこかに隠されており、見つけた者はひとつだけ、どんな願いも叶えることができるのです。
城の中で繰り広げられる7人の心の交流と、徐々に明かされていく「鏡の城」の秘密。現実と幻想が交錯するなかで、彼らがたどり着いた真実とは――。
読みどころ・魅力ポイント
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不登校やいじめといった現代的なテーマに正面から向き合うリアルな描写
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幻想的な「鏡の城」という舞台設定がファンタジーの魅力を引き立てる
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7人の中学生それぞれの背景や悩みを丁寧に描いた群像劇
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「願いを叶える鍵」というミステリー的要素がストーリーに推進力を与える
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辻村深月ならではの温かくも鋭い人物描写
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ラストの衝撃と伏線回収の見事さに心を奪われる
読後の感想
『かがみの孤城』は、単なるファンタジー小説にとどまらず、現代社会における生きづらさや孤独、そして人とのつながりの大切さを深く描いた作品だと感じました。
読み始めは「ん〜、思春期の面倒くささ?」とおもいつつ読み進めるうちに、登場人物たちの抱える悩みや葛藤が自分自身の経験と重なり、心を揺さぶられました。
物語の舞台である「鏡の城」は、現実から逃避するための幻想的な場所でありながら、登場人物たちが自分自身と向き合い、成長していく場でもあります。
特に、主人公・こころの心情の変化や、他の6人の中学生たちとの交流を通じて描かれる友情や信頼を構築していく様子は、深い感動をもらいました。
読み進めていくと、登場人物7人のだれもに自分が似ている気がしてきて扌。
考え方や感じ方、その行動に共感して、しっかり物語の中に入り込んでしまいました。
また、物語の終盤で明かされる驚きの真実や、巧妙に張り巡らされた伏線の回収は、一つ一つ驚かされ、思わず前に戻って読み返してしまったりしました。。
辻村深月さんの繊細で丁寧な等身大の人物表現が、物語への没入感を加速させてくれました。
私は、まず映画がされた作品から入りましたが、小説だからこそ表現できる空気感を味わうことができました。
この作品は、思春期の若者だけでなく、大人にとっても多くの気づきや学びを与えてくれる一冊だと観じました。
自分自身や他者との関係に悩んでいる方、生きづらさを感じている方に、ぜひ手に取っていただきたい作品です。
こんな人におすすめ!
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学校生活や人間関係に悩みを抱える中高生
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思春期の子どもを持つ保護者や教育関係者
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繊細な心の機微を描いた青春小説が好きな方
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ファンタジーとリアリティが融合した作品を読みたい方
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辻村深月作品に興味がある、またはすでにファンの方
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人とのつながりや「居場所」の大切さに共感できる物語を求めている方
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感動とサプライズのあるストーリーで心を動かされたい方
読書時間・巻数・難易度の目安
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巻数:単巻(文庫版・ハードカバーともに1冊完結)
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ページ数:文庫版 約640ページ/単行本 約556ページ
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読書時間の目安:
・読書に慣れている方:8〜10時間程度
・ゆっくり読む方:12〜14時間程度 -
難易度:中級程度(中学生以上推奨)
メディア化情報
『かがみの孤城』は、2022年に劇場アニメ映画化され、大きな話題を呼びました。
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映画タイトル:かがみの孤城
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公開日:2022年12月23日
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監督:原恵一
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制作:A-1 Pictures
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声の出演:當真あみ、芦田愛菜、宮崎あおい、梶裕貴 ほか
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主題歌:優里「メリーゴーランド」
また、Audible版(オーディオブック)も配信中で、耳で楽しむ読書も可能です。
購入リンク
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Amazon(文庫版・Kindle版):
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まとめ
『かがみの孤城』は、辻村深月さんが描く心に寄り添うファンタジーの傑作です。
不登校やいじめといった現実の問題に真正面から向き合いながら、幻想的な城の世界を通じて、人とのつながりや自分自身を見つめ直す大切さを教えてくれます。
7人の中学生たちの葛藤と成長、そして彼らを待ち受ける驚きの真実。
すべてが丁寧に紡がれた物語は、読む人の心に深く残ることでしょう。
ファンタジーが好きな方も、現代の社会問題に興味がある方も、すべての読者におすすめできる感動作です。
映画やオーディオブックなど、さまざまな形で楽しめる点も魅力的です。
あなたもぜひ、この「孤城」の扉を開けてみてください。
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